「報われません、勝つまでは」(2018.03.24)

観劇3連発の1発目は田上豊さん作・演出「報われません、勝つまでは」土佐弁バージョンでした。
「報われません」は過去にオリジナルバージョンをDVDで観ていたのですが、最初耳に飛び込んでくる熊本弁のあまりの分からなさに「なんやこれ!同じ言語か!?」と衝撃を受けながらも、5分ほどしたら言葉の意味が頭に入ってくる人間の不思議に驚いたwだけじゃなく、若者達のある瞬間を田上さんの暖かい視点で切り抜いた、激しくも優しい作品に感動したことでした。

さぁ、高知バージョン!
今回は現役高校生版とかつて版(以下おっさん版)と、2チームにキャストを分けての作品制作で、いやーこれは創る方は大変だ。でも観る側は楽しめますな。

最初に観たのは現役高校生版です。
出演募集をした際、男子キャストが多いのと、高校演劇のコンクールなども間にあった関係で、思った以上に参加者が集まらなかったようで、今回はじめて演劇に関わる方もいたようですが、いや、それでこのクオリティか!!
おそらく田上さんや、演出助手で入った吉良さん、昌子さん、高校生の指導に当たった領木さんたちの、彼らの力の引き上げ方に驚くことしきりです。
きっと、そもそもの演劇についてイチから学び、体験していく作業の中で、最初は出演者もでこぼこで、関係性も良くなかったんだろうなー。そんな彼らがひとつのチームとして、本番に向けてしっかり機能していくのは、劇中のストーリーとシンクロしていくようで、ちょっとたまらんかったです。
この座組みに入ったあゆみちゃんの力も大きかったろうなーとも思う。高知って土地で、真剣に演劇をやってるみんなと若い方達がいっしょに作品を作れたのは、本企画の一番の成果だと思いました。

続いておっさん版。
そうか、この作品から若さを引くとこうなるのか!というくらいのコテッコテっぷり。
全力のベクトルが少しでも違うとこうなるのかー。
高校生はそれぞれが目先のひとつひとつに必死になっていることで、逆に全体でひとつの何かを作り上げていたのが、おっさん版は関係性を遊んだり、全体の調和をそれぞれが意識していることが、逆に役者の個性になっているような感じがしました。
その中でも初めて見た、芝さん、オカザキさんの誠実さにギュッとなりましたよ。
同じくアラッキーの誠実さも素晴らしかったけど、アラッキーは高校生版に混ざった方がもっと彼の魅力が出たのかも知れないな。

けどけど、こうやって比較して演劇を楽しむというのはなかなかない機会でした。
きっと、高知市文化振興事業団って組織が生きていく道は、こうやって地域の表現者と歩み、新しい芽を育てていくことだと思います。どうぞどうぞ、この道を進んでいただきたい!
頑張れー!しょーねーん!!

田上さん、スタッフの皆さん、ありがとうございました!!
明日も頑張ってー!!(怪我のないようにー!)