劇団むすび座「アラビアンナイト」(2018.05.22)

昨日はグリーンホールにて高知市こども劇場例会、劇団むすび座「アラビアンナイト」を見てきましたよ。例によって感想文。

こども劇場さんの会員になって2本目は、いわゆるプロセミアム型のホール公演。個人的には前回の人形劇団ココンさんのような、小規模スペースでの作品の作り方や、こどもちゃんの惹きつけ方に興味を持っていまして、いわゆる中ホール・大ホールの公演を小規模なパッケージで見るのは…うーん…(粗が目立っちゃうかなー…)というのが観劇前の印象でした。

公演前日の交流会にお邪魔させてもらって少しお話をしたのですが、今回のチームは劇団員8名と、照明スタッフの方1名の合計9名での上演とのことで、劇団員の方が出演しながらスタッフワークをこなすのはそれほど珍しいことではないのですが、いやそれでも本番を見てぶったまげました。

「この人数でここまでの舞台を作り、そして本番もこなすのか!」
「みなさん舞台袖では体がふたつに分かれたり、倍速で動いてるのか!!」

暗転を使わずに効果的な転換を可能にした舞台美術の洗練さとその操作、ひとつの人形を複数で入れ替わり操作していく(そして出ていない方は裏で次の準備に走っている)流れ、音響も自分たちでこなし、SE・BGMを叩きながら、袖で銅鑼や太鼓の生演奏まで行うという…。何この千手観音っぷり…。
全国を回って、何百回と上演を重ねる作品だからこそ、このチームだからこそ、できることなんだろうなぁ。
すげー(語彙力)。

お話は分かりやすく王道を行くものでした。
その中でも腕輪の魔神の可愛らしさやキャラクターは人形劇ならではですなー。おじさんキュンキュンしまくり。
また、どんな願いでも叶えるランプの魔神は、最後まで感情を出さずに誰かの命に従う(=正義にも悪にもなり得る)というのは、じんわり今の世の中が透けて見えましたよ。

一方ちょっと気になったのが、主人公の少年アミンの慢心の場面と、絶望、そしてもう一度立ち上がる場面の描き方が、本人の根底にある優しさと、友達や仲間の関係をもっと丁寧に浮かび上がらせたら良かったなーと思った事でした。
言い換えると展開を分かりやすくするために、人物像が乱暴に描かれたように思った事です(慢心の場面で役立たずの腕輪の魔神に「死ね!」って言ったのには心底驚いた)。

とは言えラストの盛り上がりは圧巻。
休憩開けで、こどもちゃんの集中力が切れてるかなーと思ったところでの、客席の使い方はさすがでしたね。
劇団員の皆さんの誠実さが、そのまま作品にも現れている素敵な公演でした。
あー、面白かった!
みなさま、ありがとうございました!
(恐るべし、こども劇場!)